NOWPAPの環境

NOWPAP地域は、世界で人口が最も過密している地域の1つです。3億を超える人口の多くが沿岸地域に住み、その生活は、北西太平洋の海洋・沿岸生態系がもたらす環境、経済、社会サービスと緊密に関係しています。

北西太平洋地域は南北2,500㎞の広さがあり、その中には温帯から亜熱帯までの気候帯があります。人口分布も広く、また産業や農業も盛んであるため、人が環境にもたらす負荷も分散しています。加えて、生態系に影響を与える気候や海流の変化、河川流出や海水交換などにより、様々な環境問題が発生しています。

この地域には、特徴が大きく異なる2つの海域があります。一つ(A)は、東側には日本とサハリン島の間、西側にはロシア本土と朝鮮半島の間に位置しているもので、水深は非常に深く、太平洋と東シナ海とは狭い海峡でつながっており、北部は冬になると氷で覆われます。もう一つ(B)は、朝鮮半島の西南に位置している浅い縁海盆で、外洋との水の交流は比較的限られていますが、東アジア最大の河川の河口付近にあるため、沿岸にはかなりの水量が流れ込みます。

NOWPAP地域における漁獲量は世界の4分の1を占め、海洋由来の鉱物・エネルギー資源も豊富です。特に重要なものは石油とガスです。また当地域の海底からの砂や砂利も広く活用されています。2010年には韓国で2,600万㎥以上が使用されました。

NOWPAP海域は世界的に海洋輸送の中心地であり、世界のトップ20位に入るコンテナ港の半数以上がこの地域にあります。

環境への脅威

  • 沿岸の生物生息地及び、都市化や観光に関わる景観の消失/損失
  • 河川や大気からもたらされる、陸上起因の化学物質による水・堆積物・生物相への汚染
  • 人為的に海に流出した栄養塩による海水の富栄養化と、それにより引き起こされる赤潮、及び沿岸海域の低酸素化
  • 産業活動や船舶の過密な航行による海洋汚染事故
  • 湾岸や浅瀬に顕著にみられる海洋ごみ
  • 生物の多様性や生息地を脅かす外来種、侵略種の増加
  • 乱獲、破壊的漁業