松井 一郎

大阪市長


インタビューシリーズ#2

大阪市長 松井 一郎氏:

「環境先進都市を目指し『大阪ブルー・オーシャン・ビジョン』の実現に邁進」

ーー2019年に開催されたG20大阪サミットにおいて、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共有されました。その後、大阪にとってどのような成果があったと考えられるかお聞かせください。

日本で初めてのG20を大阪で実施できたのは、大阪の都市格を向上させるという点と、大阪の魅力を世界に発信するという点で素晴らしい機会だったと思っています。当時、私は大阪府知事として、このサミット開催を通じて、大阪の食や文化を世界の人に発信をする準備に万全を期すようにと指示しましたし、世界中から記者や要人が多く一緒に来られましたので、その記者の皆さんに世界に情報を発信してもらえるよう最善を尽くしました。

海洋プラスプラスチックごみに対応するための世界共通のビジョンが「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」ですから、大阪が、環境に対して、非常に先進的・先駆的な取り組みをする都市ということを伝える絶好の機会だったと思っています。

#

ーー大阪市として、自治体レベルでのプラスチックごみの解決に関する取り組みがあれば是非教えてください。

大阪府知事時代、G20サミット前に当時の吉村大阪市長と一緒に「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」を行いました。現在、大阪市では、市民や事業者の皆さんに協力をしてもらいながら、使い捨てのプラスチックの削減や3Rのさらなる推進、それからプラスチックごみのポイ捨ての防止等に取り組んでいるところです。

大阪市と大阪府は、2021年3月に「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」実行計画を策定しました。 この計画は、2020年7月に大阪市と大阪府の提案が内閣府の「SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業」に選定されたことを受け、大阪市と大阪府が共同で策定したものです。

こちらについても市民や事業者と連携し、現在プラスチックペットボトルの回収などリサイクルシステムの確立などに邁進しています。また、プラスチックごみ削減に向けて大阪府知事と大阪市長のメッセージを盛り込んだ動画も作成しまして、国内外に情報発信しています。

ーーG20大阪サミット、首脳宣言ではイノベーション、改革について触れられていますが、「環境と成長の好循環」「気候変動」「海洋プラスチック問題」といった課題に、大阪市としてどのように向き合っているかについて教えていただけるでしょうか。

G20大阪サミットで確認された地球規模の環境課題を踏まえ、気候変動対策や循環共生型の社会の形成に取り組むこと、環境と成長の好循環を推進していくことが重要と考えています

大阪・関西は、優れた環境技術を有する企業、大学等が集積していますので、これを生かさない手はないですね。行政として企業や大学などがチャレンジできる環境を整え、革新的なイノベーションの普及拡大などに取り組んでいきたいという思いを持っています。特に2025年の「大阪・関西万博」は、コンセプトとして「未来社会の実験場」というのを掲げており、SDGsの達成に向けたイノベーションを普及拡大させていく上で大変重要な位置付けです。万博には世界中から大勢の方にお越しいただき、SDGsが達成された社会の実現にぜひつなげていきたいと思っています。

ーーUNEP-IETCは、廃棄物管理の分野を中心に途上国への技術移転等に取り組んでおり、今年10月で設立30周年を迎えます。大阪にある国連機関であるUNEP-IETCに市長からメッセージをいただけないでしょうか。

UNEP-IETCには、自然と人間の共生をテーマとした国際花と緑の博覧会の精神を引き継ぐとともに、大阪の環境保全や経験を途上国の環境問題の解決に生かす取り組みを行っていただいています。SDGsの達成に貢献する環境先進都市を目指す大阪市にとって、大変重要な国際機関であると捉えています。

近年はグローバルな環境問題として、海洋プラスチックの汚染をはじめとするプラスチック汚染の問題がクローズアップされています。この問題の解決に向けて、世界全体で協調して取り組んでいくことが求められるところです。その中で、廃棄物管理の専門機関であるUNEP-IETCは、大きな役割を果たせると期待をしています。

30年前にUNEP-IETCを誘致した大阪市としても、その取り組みをこれからもしっかりとサポートしていきたいと思っておりますので、ぜひ頑張ってもらいたいです。